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「孤狼の血」 [映画(新作)]

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2017日本
監督:白石和彌
原作:柚月裕子
出演:役所広司、松坂桃李、真木よう子、音尾琢真、駿河太郎、中村倫也、阿部純子、滝藤賢一、矢島健一、田口トモロヲ、町田マリー、伊吹吾郎、MEGUMI、中村獅童、竹野内豊、ピエール瀧、石橋蓮司、江口洋介、井上肇、瀧川英次、沖原一生、さいねい龍二、中山峻、 黒石高大、嶋田久作


 冒頭のシーンからひえぇってなりました。怖かったです。

 暴対法成立直前の昭和63年。広島のある都市で暴力団同士の抗争が激化する中、暴力団絡みの殺人事件が発生。法律無視の暴力的な刑事大上と、真面目なエリート新人刑事日岡が捜査に当たる。

 “警察じゃけぇ何をやってもええんじゃ。“
 拷問、収賄、不法侵入に放火、何でもありの悪徳刑事大上。演じた役所広司の鬼気迫る演技に終始圧倒されました。やがて、暴力団との攻防と危険な駆け引きの中で見えてくる大上の確固たる信条と人間性・・・。正義とは何なのかわからなくなります。

 一方、彼に不信を抱く正反対の刑事日岡を松坂桃李が好演していて、大上との関係性、大上の激しい生き様に触れ次第に変貌する日岡の姿も重大な見処になっています。

 江口洋介、竹野内豊の悪役は新鮮でした。音尾琢真、中村倫也、真木よう子 、阿部純子の演技も印象に残ります。

 男臭い映画です。目を覆うような暴力シーンが多いけれど、それでも観て良かったと思います。登場人物一人一人を丁寧に描写した、骨太で見応えある人間ドラマでした。

 私は広島で生まれ育ったので、ロケ地の呉市の街並みや広島弁は懐かしかったです。

☆☆☆☆


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「君の名前で僕を呼んで」 [映画(新作)]

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CALL ME BY YOUR NAME
2017イタリア/フランス/ブラジル/アメリカ

監督:ルカ・グァダニーノ
原作:アンドレ・アシマン
脚本:ジェームズ・アイヴォリー
出演:ティモシー・シャラメ、アーミー・ハマー、マイケル・スタールバーグ、アミラ・カサール、エステール・ガレル、ヴィクトワール・デュボワ


 1983年の夏。両親と共に北イタリアの避暑地で過ごす17歳の少年エリオと、大学教授の父に招かれてやって来た24歳のアメリカ人大学院生オリヴァーとの、儚くも美しい恋を描いたラブストーリーです。

 アンドレ・アシマンの同名小説を、「モーリス」「日の名残り」「眺めのいい部屋」のジェームズ・アイヴォリー監督が脚色し、本年のアカデミー賞では脚色賞を受賞しています。


 情感たっぷりの北イタリアの風景と音楽。十代の不安定さと大人びた知性が同居する美少年。健康的な肉体美で自信に溢れる大人の男。止めることのできない熱い想い。全てが美しくて完璧で、文芸色の濃い映画でした。

 エリオとオリヴァーは、端正な顔立ちと整ったスタイルに加えて知的な言動が魅力的な二人なので、互いに惹かれ合うのも必然に思えます。そして、ティモシー・シャラメとアーミー・ハマー以外考えられない最高のキャスティングだと思いました。

 同性であるが故に戸惑い葛藤しながらも、少しずつ想いを確かめ距離を縮める二人の姿がとても切ない。シャラメとハマーの繊細な演技に完全に魅了されました。

 どちらも素晴らしい演技でしたが、シャラメの瑞々しいエリオには心を奪われっ放しでした。憂いを湛えた表情の何と美しいことか。ずっと観ていたいと思いました。

 ピュアで多感で誠実なエリオが可愛くてとても愛おしくなる。そんなエリオの全てを理解し支える両親の深い愛も印象的でした。

 非常に好みのタイプの作品でした。エリオとオリヴァーの細かい心理に注目してもう一度観たくなるし、原作小説も読んでみたくなりました。タイトルの意味も深いと思います。

☆☆☆☆




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「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」 [映画(新作)]

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AVENGERS: INFINITY WAR
2018アメリカ

監督:アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ
出演:ロバート・ダウニー・Jr、クリス・ヘムズワース、マーク・ラファロ、クリス・エヴァンス、スカーレット・ヨハンソン、ドン・チードル、ベネディクト・カンバーバッチ、トム・ホランド、チャドウィック・ボーズマン、ゾーイ・サルダナ、カレン・ギラン、トム・ヒドルストン、ポール・ベタニー、エリザベス・オルセン、アンソニー・マッキー、セバスチャン・スタン、イドリス・エルバ、ダナイ・グリラ、ピーター・ディンクレイジ、ベネディクト・ウォン、ポム・クレメンティエフ、デイヴ・バウティスタ、グウィネス・パルトロー、ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン、クリス・プラット、ウィリアム・ハート、レティーシャ・ライト、トム・ヴォーン=ローラー、キャリー・クーン、マイケル・ジェームズ・ショウ、ウィンストン・デューク、フローレンス・カサンバ、ジェイコブ・バタロン、アリアナ・グリーンブラット、スタン・リー、コビー・スマルダーズ、サミュエル・L・ジャクソン
声:ヴィン・ディーゼル、ブラッドリー・クーパー、ケリー・コンドン


 豪華なキャストを見ただけで、本作のスケールの壮大さを想像して心が躍ります。


 6個揃うと絶対的パワーを持つことができる“インフィニティ・ストーン”を狙う強敵サノスによって、全宇宙に最大の危機が迫っていた。サノスの野望を阻止して宇宙を救うため、アベンジャーズのメンバーが集結し、壮絶な闘いを繰り広げます。

 色んなマーベル・ヒーローが登場、それぞれの見せ場がありとても贅沢な作品になっています。各個性を生かしながらのアクションで、全体として統一感を持たせる演出は見事です。

 ただ、ヒーローが多過ぎてストーリーについて行くのが大変でした。本作も含め関連作品をまた観直さなくては・・・。

 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの参加は楽しかった。重いシーンが多い中、彼らのギャグにはほっとさせられます。

 迫力ある格好いいアクションの連続。とにかくサノスが強いので、はらはらしっ放しでした。そして、まさかの展開・・・。早く次作が観たいです。

☆☆☆☆


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「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」 [映画(新作)]

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DARKEST HOUR
2017イギリス

監督:ジョー・ライト
出演:ゲイリー・オールドマン、クリスティン・スコット・トーマス、リリー・ジェームズ、スティーヴン・ディレイン、ロナルド・ピックアップ、ベン・メンデルソーン


 ゲイリー・オールドマンの迫真の演技に魅せられました。文句なしのオスカー受賞、素晴らしいです。


 第二次世界大戦初期、ナチス・ドイツの驚異が迫るイギリスで、首相に就任してからの27日間に焦点を当て、ヨーロッパの命運を分ける最大の決断を下すまでのウィンストン・チャーチルの孤独な戦いが描かれています。

 和平か徹底抗戦か、イギリスがここまで追い詰められていたとは、考えたことがなかった気がします。特に中盤からラストまで、屈辱の和平と国の誇りの狭間で決断を迫られるチャーチルの葛藤が凄まじくて、思わず力が入りました。

 オスカーを受賞した辻一弘の特殊メークが見事で本物の皮膚にしか見えない。チャーチルの顔のアップの映像は全く違和感ありません。どれだけオールドマンの演技の支えになっただろうと思うと、同じ日本人として誇らしいです。

 激情的なチャーチルを優しく叱咤激励する夫人の存在も印象的。クリスティン・スコット・トーマスが魅力的に演じています。タイピストのエリザベスを演じたリリー・ジェームズの演技も良かった。夫人との会話やエリザベスとの交流が、人間味あるチャーチルの人物像を浮かび上がらせていました。


 それにしても、あの世紀の大撤退”ダイナモ作戦”の裏にこんな大きな英国民の決意と覚悟があったのかと、戦争の現実に改めて震撼しました。映画「ダンケルク」のシーンが甦える。そして、この後も独ソ開戦、米参戦、太平洋戦争と、大戦が続いたことを思うと暗澹とした気持ちになりました。


 全編を通してチャーチルの演説のシーンは圧巻です。“彼は言葉を武器に戦争をしている”という表現がありましたが、正にチャーチルの言葉には人の心を動かす力がある。作家でもある彼は後にノーベル文学賞を受賞しています。


 知らなければオールドマンと気付かないかも。だけど間違いなく彼だからこそ成立したチャーチルでした。

☆☆☆☆



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「レッド・スパロー」 [映画(新作)]

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RED SPARROW
2018アメリカ

監督:フランシス・ローレンス
原作:ジェイソン・マシューズ
出演:ジェニファー・ローレンス、ジョエル・エドガートン、マティアス・スーナールツ、シャーロット・ランプリング、メアリー=ルイーズ・パーカー、ジェレミー・アイアンズ

 ロシアの諜報機関の訓練施設で、ハニートラップと心理操作を武器とするスパイ(スパロー)に仕立て上げられた元バレリーナのドミニカは、アメリカに情報提供する二重スパイを突き止める任務を遂行するため、CIAエージェントと接触する。


 先が読めず、緊張に次ぐ緊張の連続。派手なアクションは少ないですが、本心が何処にあるの全くかわからない、スパイ同士の駆け引きがとてもエキサイティングでした。原作者のジェイソン・マシューズは実際にCIAの工作員だったら人しい。

 主人公ドミニカを演じたジェニファー・ローレンスのクールで体当たりの演技に圧倒されます。脱ぎっぷりだけでなく演技が上手いので、スパイ活動って本当にこんなかも・・・と思えるし、ドミニカの悲哀や孤独が伝わって来て、胸がひりひりしました。

 ジョエル・エドガートン、マティアス・スーナールツ、シャーロット・ランプリングなど、その他の俳優陣も渋い演技派揃いで見応えありました。

 拷問のシーンは残酷で怖かったですが、それにも増して複雑な問題を抱える今の時代に、映画で描かれる米ロの関係はリアル過ぎて怖かったです。


 国家の裏切り者として処刑される危機をドミニカがどうやって切り抜けるか。二転三転するストーリーにドキドキしながら引き込まれました。

☆☆☆☆



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「ヴァレリアン 千の惑星の救世主」 [映画(新作)]

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VALERIAN AND THE CITY OF A THOUSAND PLANETS
2017フランス

監督・脚本:リュック・ベッソン
原作:ピエール・クリスタン(作)、ジャン=クロード・メジエール(画)
出演:デイン・デハーン、カーラ・デルヴィーニュ、クライヴ・オーウェン、リアーナ、イーサン・ホーク、ハービー・ハンコック、クリス・ウー、サム・スプルエル、ルトガー・ハウアー、ジョン・グッドマン(声)


 様々な種族が共生する28世紀のアルファ宇宙ステーションを舞台に、宇宙の平和を守る特殊エージェント、ヴァレリアンとローレリーヌの活躍を壮大なスケールで描き出す。(allcinema解説より)


 原作は1967年から連載が始まったSFコミック。「スター・ウォーズ」シリーズにも影響を与えたという伝説の作品・・・らしい。

 デイン・デハーン主演であるし、気楽に楽しめそうな作品だと思って劇場に足を運んだのですが、これが期待の何倍もの面白さでした。


 舞台は西暦2740年の宇宙。取り込んだ物質を増幅させる“変換器”を回収する任務に当たるヴァレリアン捜査官と相棒ローレリーヌ。やがてその背景にある陰謀が明らかになり・・・というストーリー。

 空や海の自然から人工的な未来の建築物まで、映像がとても綺麗で見応えありました。バラエティに富んだ宇宙の生き物達の造形や特性も丁寧に作り込んであり、全てが楽しくてワクワクします。

 映像とストーリーに既視感はありますが、主役二人の魅力的なキャラクターで、終始引き込まれます。性格はチャラいが“出来る”男ヴァレリアンをデハーンが好演。ブラッド・ピットを彷彿させる甘く茶目っ気のあるマスクは、目の保養になりました。ローレリーヌを演じたカーラ・デルヴィーニュもクールさがまた可愛くてずっと観ていたい感じ。任務の間もローレリーヌを口説きまくるヴァレリアン。二人の軽妙な掛け合いがとても良いです。

 リュック・ベッソン監督の作品は久しぶりでしたが、愛と平和のメッセージを盛り込んだ絶妙な脚本と、ユーモアのセンス、惜しげないサービス精神には改めて恐れ入りました。

 最先端のVFXを駆使していると思いますが、50年も前の原作だけあって、何処かレトロ感が漂う所も良かった。最後はすっきり、壮快な気分になれます。

 クライヴ・オーウェン、リアーナ、イーサン・ホーク、ハービー・ハンコック、ジョン・グツドマン(声)。ルトガー・ハウアーまで動員した、贅沢な俳優の使い方には驚かされました。

 一度観ただけでは処理しきれないほど、見所満載でした。

☆☆☆☆



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「ラッキー」 [映画(新作)]

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LUCKY
2017アメリカ

監督:ジョン・キャロル・リンチ
脚本:ローガン・スパークス、ドラゴ・スモンジャ

出演:ハリー・ディーン・スタントン、デヴィッド・リンチ、ロン・リヴィングストン、エド・ベグリー・Jr、トム・スケリット、ジェームズ・ダーレン、バリー・シャバカ・ヘンリー、ベス・グラント、イヴォンヌ・ハフ・リー、ヒューゴ・アームストロング


 ハリー・ディーン・スタントンと言えば「パリ、テキサス」「ワイルド・アット・ハート」を思い出します。リチャード・ファーンズワース主演の「ストレイト・ストーリー」は大好きな作品です。

 昨年他界した彼の最後の主演作となった本作。正に彼の集大成と言える素晴らしい演技でした。スタントンにはカウボーイ・スタイルと、乾いたメキシコの原風景がよく似合う。脚本は彼をよく知る友人ローガン・スパークス&ドラゴ・スモンジャ。俳優ジョン・キャロル・リンチの初監督作品です。


 メキシコの国境近くの田舎町で一人暮らす90歳のラッキー。日々の日課をこなし、町の人々と会話を交わし、穏やかないつもの日常が繰り返されるが、ある日突然倒れて病院に。大事には至らなかったものの、その日から彼は自身の死を意識し始める。


 スタントンのために書かれた脚本だけあって、ラッキーの生き方はスタントン本人のそれと重なります。皺だらけの顔に萎びた身体が死を予感させて寂しさが募りますが、老いても威厳ある佇まいはとても恰好良い。

 度々流れるハモニカ曲”Red river valley”を自身が演奏、マリアッチと共にメキシコの歌を披露するなど多才振りを発揮。スタントンの人間性が滲み出る全てのシーンから目が離せず、自然に涙が溢れていました。


 ユーモラスで、哲学的でもある町の人々との会話は、粋で味わい深く、憎まれ口をたたきながらもラッキーが人々に愛されているのが感じられて心が暖まります。

 スタントン本人の実体験も含む、ラッキーが太平洋戦争や少年時代の体験を語るシーンでは、胸が締め付けられる思いでした。

 友人役のデヴィッド・リンチをはじめ、脇を固める俳優も皆上手い。リクガメを象徴的に用いた演出も良かった。


 人生の最期に向き合う老人のリアルな姿を映し出した、味わい深いドラマでした。

 エンドクレジットで流れるスタントンに捧げられた歌”The man in the moonshine”には、感無量でまた涙。こうして、名優スタントンへの敬愛の想いが込められた作品を観られた事に感謝。本当に魅力的な俳優です。

☆☆☆☆



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「リメンバー・ミー」 [映画(新作)]

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COCO
2017アメリカ(Anime)
監督:リー・アンクリッチ
音楽:マイケル・ジアッキノ

声の出演:アンソニー・ゴンサレス、ガエル・ガルシア・ベルナル、ベンジャミン・ブラット、アラナ・ユーバック、レニー・ヴィクター、ハイメ・カミル、アナ・オフェリア・ムルギア、ナタリア・コルドバ=バックリー、ソフィア・エスピノーサ
日本語吹替:石橋陽彩、藤木直人、橋本さとし、松雪泰子、磯辺万沙子、横山だいすけ、大方斐紗子、中村優月、渡辺直美、シシド・カフカ、東京スカパラダイスオーケストラ
 

 ディズニーピクサーのアニメ作品。ピクサー初のミュージカルです。

 アカデミー賞の授賞式で、ガエル・ガルシア・ベルナル&ミゲル&ナタリア・ラフォルカデのパフォーマンスで聴いて、何て優しくて美しいメロディーだろうと、主題歌が頭から離れなくなりました。

 オスカーの結果は長編アニメ賞と主題歌賞を受賞。そして、その評価通りの素晴らしい作品でした。


 観ていくうちに“COCO”という原題に込められた深い意味が解って涙が止まらなかった。“Remember me”の、より切ない意味も・・・。今は歌を思い出すだけで涙が溢れます。


 メキシコにも日本のお盆のような慣習があるのですね。ぐっと親近感が沸きます。映画では“死者の日”と呼んでいます。その日、祭壇に写真を祭っておくと、その死者の魂があの世から現世にやって来るという。

 祭りの日、死者の国に迷い込んだ音楽大好きな少年ミゲルが、そこで繰り広げる冒険を通して、家族の絆と愛することの尊さを再見する物語です。捻りの効いた面白いお話でした。


 ミゲル少年がとても可愛くて、彼の冒険に一喜一憂しながら観入りました。映像もとても綺麗。ギターの演奏やメキシコらしいマリアッチの曲も、時に華やかで時に切なく聴き応え十分。相棒の犬も可愛いし、死者の国の個性的な住民たちも魅力的でした。
 
 現在と過去の大切な人への想いが胸に溢れて心が癒されるよう。とてもとても素敵な映画でした。

 オリジナルの“Remember me”が聴きたかったのですが、劇場と時間の都合で吹替版にしました。結果的に日本語の歌詞も声も良かったので大満足。シシド・カフカ&東京スカパラダイスオーケストラの吹替版の主題歌も良かったです。

☆☆☆☆



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「シェイプ・オブ・ウォーター」 [映画(新作)]

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THE SHAPE OF WATER
2017アメリカ

監督・脚本:ギレルモ・デル・トロ
出演:サリー・ホーキンス、マイケル・シャノン、リチャード・ジェンキンス、ダグ・ジョーンズ、マイケル・スタールバーグ、オクタヴィア・スペンサー、デヴィッド・ヒューレット、ニック・サーシー


 米ソ冷戦時代のアメリカ。口の利けない女性イライザが掃除婦として働く政府の極秘研究所に、ある日不思議な生きものか運び込まれる。水槽に繋がれたその人魚のような怪物に魅せられたイライザは、秘かに水槽に通い彼と心を通わせて行く。

 そんな中、研究のために怪物を生体解剖する計画を耳にしたイライザは彼を救う決意を固める。一方で、アメリカの研究を阻止しようとソ連のスパイも怪物の抹殺を企んでおり・・・。


 社会の片隅で生きる孤独な女性と、心ない人間に虐げられる異形の怪物の、切なくも美しい純愛を描いたファンタジーです。

 美しい映像と音楽に引き込まれる。水中で愛し合うイライザと怪物、窓の雨粒を捉えた映像など、素敵なシーンが沢山ありました。イライザが帽子を枕にバスの窓にもたれるシーンも印象的でした。

 うす暗い研究所、イライザのアパートの寂しげな風景の中に効かせた緑や赤の色彩に心がざわつきます。


 一歩間違えればグロテスクでしかないところを踏み留まって、甘美なお伽噺に昇華させているのは、怪物の造形の上手さとサリー・ホーキンスの演技による所も大きいと思いました。

 怪物を演じたダグ・ジョーンズも良かったし、イライザの友人でゲイの画家を演じたリチャード・ジェンキンス、同じく友人で人情味ある同僚役のオクタヴィア・スペンサーもいい。敵役ながら政府の圧力に追い詰められる悲哀を演じたマイケル・シャノンの怪演も光ります。


 細部に拘るギレルモ・デル・トロ監督の演出は素晴らしいの一言。イライザの境遇は、王子の側で暮らすために声を失ったアンデルセン童話の「人魚姫」を連想させます。監督は、かなり繊細でロマンティックな人なのだろうと思いました。

 デル・トロ監督ののオスカー受賞時のスピーチは感動的でした。

☆☆☆☆



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「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」 [映画(新作)]

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MAUDIE
2016カナダ/アイルランド

監督:アシュリング・ウォルシュ
出演:サリー・ホーキンス、イーサン・ホーク、カリ・マチェット、ガブリエル・ローズ、ザカリー・ベネット、ビリー・マクレラン


 カナダの女性画家モード・ルイスの人生を、夫エベレットとの愛の軌跡とともに描き出した伝記映画。サリー・ホーキンスとイーサン・ホークの味わい深い演技に引き込まれました。


 リウマチで手足が不自由ながら、独学で生涯絵を描き続けたモード。絵の具を混ぜないで自然の風景や身近な生き物を描いた素朴な作風はとても暖かみがあります。

 親戚の家で厄介者扱いされていた彼女ですが、たまたま見つけた求人で独り者の魚の行商人エベレットの小さな家に家政婦として住み込んでから、人生を大きく変えて行きます。

 口下手で粗暴な性格のエベレットと度々衝突しますが、彼はモードが絵を描くことは決して止めなかった。それが彼のすごい所で、お互い運命の相手だったとしか思えません。


 やがて二人は結婚し、モードの絵が売れ始めても慎ましい生活を変えることなく支え合って生きて行きます。

 乱暴な言葉でモードの心を傷つけてしまうこともある無器用なエベレットだが、働き者で家事も手伝うなど根は優しい。彼女が絶望にうちひしがれた時には、そっと彼女の痛みに寄り添います。


 生活は貧しくても、言葉にしなくても、深い愛が感じられる素敵な夫婦の形に心が温まる。モードの絵が心に響くのは、彼女の愛と幸福な想いがいっぱい詰まっているからだと思いました。素敵な映画でした。

☆☆☆☆



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