So-net無料ブログ作成
前の10件 | -

「世界の涯ての鼓動」 [映画(新作)]

submer.jpg
SUBMERGENCE
2017イギリス
監督:ヴィム・ヴェンダース
原作:J・M・レッジャード

出演:ジェームズ・マカヴォイ、アリシア・ヴィカンダー、アレクサンダー・シディグ、 ハキームシェイディ・モハメド、レダ・カテブ、ケリン・ジョーンズ


 久し振りにヴィム・ヴェンダース監督作品を観ました。「ベルリン・天使の詩」は一番好きな作品です。


 MI-6諜報員のジェームズは爆弾テロを阻止すべくテロリストの潜む南ソマリアへ。生物数学者のダニーは、人類の起源を解明するための調査でグリーンランドの危険な超深海へ・・・。

 それぞれの場所へ出発する数日前、滞在する海辺のホテルで偶然出会い、激しい恋に落ちた男女の過酷な運命を描き出します。


 ジェームズの携帯が繋がらない事に不安を募らせるダニー。その頃彼はジハード戦士に監禁されていた。そしてダニーもまた、乗りこんだ潜水艇が深海で操縦不能に陥ってしまう。

 遠く離れた地で死に直面する二人の心情が胸に迫る、切ないラブストーリーでした。・・・が、単なる恋愛以上の、より強くより深い愛を描いた、スケール感のある映画でした。

 哲学的な台詞と宇宙規模の映像は、過去、現在、未来へと思考を巡らさせます。情熱と知性に溢れる二人を演じたジェームズ・マカヴォイとアリシア・ヴィカンダーの演技が素晴らしかった。

 ジハード戦士の一人を「永遠のジャンゴ」等のレダ・カテブが演じていて、その深い表情も印象的でした。


 原題の意味は“潜水、水没”。全編を通して“水”が二人を結び付けている演出が良かった。

 ジェームズの台詞に登場する、「誰が為に鐘はなる」の一文でも有名な、ジョン・ダンの詩「瞑想」の一節が心に残ったので引用します。

 何びとも
 自立した孤島ではない。
 皆が大陸の一片であり
 全体の一部をなす。
 何びとの死であれ
 私の一部も死ぬ。
 私は人類の一員なのだから。
 ゆえに問うなかれ。
 誰がために鐘は鳴るのかと。
 あなたのために鳴る。

 ― 字幕(パンフレット)より -


 深い余韻が残る映画でした。

☆☆☆☆☆



nice!(3)  コメント(3) 
共通テーマ:日記・雑感

「アラジン」 [映画(新作)]

aladin.jpg
ALADDIN
2019アメリカ
監督:ガイ・リッチー

出演:メナ・マスード、ナオミ・スコット、ウィル・スミス、マーワン・ケンザリ、ナヴィド・ネガーバン、ナシム・ペドラド、ビリー・マグヌッセン
日本語吹替:山寺宏一、中村倫也、木下晴香、北村一輝


 1992年のディズニー・アニメの実写化作品。吹替版で鑑賞しました。
 監督がガイ・リッチーとは意外です。


 貧しい青年アラジンの、王女ジャスミンとの恋の行方と、王位を狙う悪役ジャファーとの対決が描かれる冒険ファンタジーです。

 ストーリーを知ってはいても、新たな映像で観るとやっぱり面白い。ワクワクしながら引き込まれました。
 特に『ホール・ニュー・ワールド』の曲でアラジンとジャスミンが絨毯で飛ぶシーンは大好きです。本作でも感動で胸がいっぱいになりました。

 アラジンのメナ・マスード、王女ジャスミンのナオミ・スコットはイメージ通り。ジーニーのウィル・スミスは流石の存在感で、作品がギュッと引き締まります。
 コミカルとシリアスのバランスが絶妙で、アラジンとジーニーの友情には涙しました。

 映像が綺麗で迫力があって、歌と踊りが楽しくて、夢のような時間でした。
☆☆☆☆


nice!(3)  コメント(2) 
共通テーマ:日記・雑感

「ゴールデン・リバー」 [映画(新作)]

golden.jpg
THE SISTERS BROTHERS
2018フランス/スペイン/ルーマニア/ベルギー/アメリカ

監督:ジャック・オーディアール
原作:パトリック・デウィット『シスターズ・ブラザーズ』
出演:ジョン・C・ライリー、ホアキン・フェニックス、ジェイク・ギレンホール、リズ・アーメッド、ルトガー・ハウアー

 ゴールドラッシュに沸く1800年代のアメリカ西部を舞台に、凄腕の殺し屋の兄弟と彼らが追う科学者、その手引き役の4人の男たちの人間模様が描かれています。

 監督は「真夜中のピアニスト」「ディーパンの闘い」などのジャック・オーディアール。「リード・マイ・リップス」から数年置きに彼の公開作品を観てきましたが、監督の描く、暴力と欲望の世界に生きる人物達の人間臭い表現が好きです。

 本作は、一獲千金の夢に翻弄される男たちの欲望と、科学者を追って旅する過程でいつの間にか”提督”と呼ばれる雇い主を裏切る羽目になった兄弟の運命が鮮烈に描かれ、引き込まれました。


 兄イーライを演じたジョン・C・ライリーがとても良かった。今年鑑賞した「僕たちのラストステージ」でのコミカルで味のある役とはまた違った、男臭くて渋い、しかしどこか滑稽で哀愁の漂う複雑な人物イーライは、彼にぴったりでした。弟をフォローするために生きているような、不器用な男ですが、兄弟の過去の悲劇を知ってからは、傷つきながらも支え合う兄弟の絆の強さに胸を打たれました。

 乱暴者の弟を演じたホアキン・フェニックス他、ジェイク・ギレンホール、リズ・アーメッドの演技も迫力ありました。旅の過程で生まれる4人の不思議な関係性も興味深かった。
 つい先日亡くなったルトガー・ハウアーも出演していました。


 独創的なストーリーで濃厚な人間ドラマです。緊張感の後、ホッとさせられるラストも良かった。

 原作はパトリック・デウィットの『シスターズ・ブラザーズ』。映画を観たら本も読んでみたくなりました。
☆☆☆☆



nice!(3)  コメント(5) 
共通テーマ:日記・雑感

「東京喰種 トーキョーグール【S】」 [映画(新作)]

tokyogo.jpg
2019日本
監督:川崎拓也、平牧和彦
原作:石田スイ

出演:窪田正孝、松田翔太、山本舞香、鈴木伸之、小笠原海、白石隼也、木竜麻生、森七菜、桜田ひより、村井國夫、知英、マギー、ダンカン、柳俊太郎、坂東巳之助


 石田スイの原作コミックスは読んでいませんが、1作目が面白かったので続きが気になっていました。
 本作では、美食家の喰種、月山と、彼が狙う半喰種の主人公カネキの壮絶な戦いが繰り広げられます。


 月山のキャラクターが面白かった。カネキに執着する彼の姿は、恐ろしくもありコミカルでもあり・・・。松田翔太が嬉々として演じていました。不思議な色気のある俳優だと思います。

 ・・・という訳で、窪田正孝の安定したカネキも良かったですが、今作は松田翔太の月山に圧倒されっぱなしでした。


 グロいシーンは喰種の習性を端的に表現していましたが、本作だけだと人間と共存する喰種の葛藤や苦悩が分かりづらかったかなと思います。

 内容的には月山のサイドストーリー的な要素もありましたが、CGを駆使した壮絶なアクションシーンは前作に続き圧巻でした。
 物語も映像も次作で更に発展するのかなと楽しみです。
☆☆☆



nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

クリムト展 [芸術]

klimt01.jpg

 クリムト展に行って来ました。https://klimt2019.jp/

 19世紀末ウィーンを代表する画家グスタフ・クリムト(1862~1918)の没後100年を記念した展覧会です。

 『ユディトⅠ』『女の三世代』『ヌーダ・ヴェリタス』といった有名な絵画をはじめ、多彩な作品を間近で鑑賞できたのは貴重な体験でした。
 特に『ユディトⅠ』は、恍惚の表情で敵将の生首を手にしたユディトの妖しい美しさに圧倒されました。

 クリムトと言えばこのような、金箔を施し、装飾性とデザイン性に富んだ黄金様式の作品が一番に浮かびますが、それ以外はほとんど知りませんでした。アカデミックな絵画や、自然主義的な肖像画、風景画も多数展示してあったのは興味深かったです。『ベートーヴェン・フリーズ』の巨大壁画の複製も迫力がありました。

 生涯独身で通したクリムトですが、子供は何人もいたらしい。自画像は一切描かず、肖像画のモデルはほとんどが女性。自身について語ることはなかったそうですが、多くの女性とロマンスがあったのだろうと想像します。

 55歳で亡くなるまでに残した油彩画は200点以上。加えて膨大な数の素描も描いたらしい。クリムトの濃密な画家人生を思うと、驚きしかありません。彼にしか出来ない独自の表現を追究し確立した、偉大な芸術家だったと知る事ができた展示会でした。
 稲垣吾郎さんの音声ガイドも心地よかったです(^^。

klimt02.jpg klimt03.jpg

klimt04.jpg klimt06.jpg

klimt05.jpg


nice!(4)  コメント(3) 
共通テーマ:日記・雑感

「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」 [映画(新作)]

spiderman.jpg
SPIDER-MAN: FAR FROM HOME
2019アメリカ

監督:ジョン・ワッツ
出演:トム・ホランド、サミュエル・L・ジャクソン、ゼンデイヤ、コビー・スマルダーズ、ジョン・ファヴロー、J・B・スムーヴ、ジェイコブ・バタロン、マーティン・スター、マリサ・トメイ、ジェイク・ギレンホール


 「アベンジャーズ/エンドゲーム」のその後の物語。アイアンマンから託された使命を前に葛藤する高校生ピーター・パーカー(スパイダーマン)の試練と成長が描かれます。

 ヨーロッパ旅行に出かけたピーターと学校の先生と仲間たち。スパイダーマンの活動は封印して普通の高校生らしいバカンスに意欲満々の彼の前に、ニック・フューリーが現れ、新たな敵との闘いを告げる。


 楽しくて、可笑しくて。最初から最後まで引き込まれました。

 ピーターの親友ネッドが本作も大活躍(?)。大いに笑わせてもらいました。ピーターとMJとの恋の行方は初々しくてほっこり。仏頂面で皮肉屋のヒロインMJですが、ちょっとした仕草や表情がとても可愛い。演じたゼンデイヤはトム・ホランドとはプライベートでも恋人同士とか。二人とも22歳と若い!。高校生役に違和感なくて可愛いカップルでした。

 ジョン・ファヴロー、マリサ・トメイも好演。異次元からやって来た新ヒーロー(?)、謎の男ミステリオを演じたジェイク・ギレンホールも、シリアスなシーンでさえどこか笑える面白さです。

 ツッコミ処が多々あるのは仕方ないとして、趣向を凝らした迫力のアクションと個々のキャラクターの造形は秀逸だと思います。
 ベネチア、プラハ、ロンドンetcと、美しいヨーロッパの風景に観光気分が味わえるのもいい。見所満載で、いつまでも観ていたいような、楽しい映画でした。

 エンドクレジットでは驚きの映像が・・・。続編が気になります。
☆☆☆☆



nice!(5)  コメント(3) 
共通テーマ:日記・雑感

「X-MEN:ダーク・フェニックス」 [映画(新作)]

darkphoenix.jpg
DARK PHOENIX
2019アメリカ
監督・脚本:サイモン・キンバーグ

出演:ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、ニコラス・ホルト、ソフィー・ターナー、タイ・シェリダン、アレクサンドラ・シップ、ジェシカ・チャステインコディ・スミット=マクフィー、エヴァン・ピーターズ、コタ・エバハート、アンドリュー・ステリン、スコット・シェパード、ハンナ・エミリー・アンダーソン、サマー・フォンタナ


 平和のために危険なミッションにも挑み、ヒーローとして人類との共存を目指すX-MEN。しかし、自身で制御できない巨大なパワーを覚醒してしまったジーン・グレイ(ダーク・フェニックス)によって、人類とミュータントたちに最大の危機が訪れる。

 ジーンは、彼女の暴走を止めようと説得するX-MENメンバーと、警察の追跡から逃れ、エリック(マグニートー)の元へ行くが、そのエリックからも命を狙われる事態に。
 一方、ジーンのパワーを利用して地球征服を企む謎の生物も彼女に接触しようとしていた。


 ストーリー面白かったです。ジーンの為にとチャールズ(プロフェッサーX)が取った行動が結果彼女の心を傷つけ、怒りを増幅させてしまう。それぞれの思いが解るだけに切なかった。

 個人的には、チャールズを演じるジェームズ・マカヴォイが好きですが、エリックのマイケル・ファスベンダーも素敵でした。エリックの劇中での変化は極端に思いましたが、彼のアクションは大好きなので満足でした。


 能力を駆使したミュータントたちのアクションが盛りだくさんで、とにかく格好良い!
 ジーンを演じたソフィー・ターナーも迫力あって良かったし、子役の演技にも引き込まれました。その他、X-MENメンバーひとりひとりがスクリーンに映るたびにワクワク。ジェシカ・チャステインも不気味な敵役がはまっていたと思います。

 ラストはややモヤっとしましたが、アクションシーンが素晴らしくて、全体的にはとても楽しめる作品でした。
☆☆☆☆



nice!(5)  コメント(2) 
共通テーマ:日記・雑感

「12か月の未来図」 [映画(新作)]

lesgrands.jpg
LES GRANDS ESPRITS
2017フランス

監督・脚本:オリヴィエ・アヤシュ=ヴィダル
出演:ドゥニ・ポダリデス、アブドゥライ・ディヤロ、レア・ドリュッケール、ジーネ・トリキ


 パリの名門高校で教鞭をとるベテラン教師フランソワは、成り行きで問題ある生徒を抱える郊外の中学校に赴任。学習意欲を失った担任クラスの生徒たちと真摯に向き合うフランソワの12か月の奮闘が描かれます。

 移民や貧困層の子どもたちと教師の物語は2008年の映画「パリ20区、僕たちのクラス」を思い出します。


 教育格差はどこの国でも深刻化しているのだなと思いました。パリが象徴する美しく洗練されたイメージとはかけ離れた現実に改めて驚かされます。赴任初日にクラス名簿を見ながら生徒の名前を一心に覚えるフランソワの姿は、担任教師として当然の仕事なのでしょうが、様々なルーツを持つ名前は発音も覚えるのも大変そう、と思った。フランソワの困難を予兆する印象的なシーンでもありました。

 集中力ゼロの子供たちからいかに興味を引き出すか、挫折しかけながら国語教師のフランソワが試行錯誤する様がリアルで引き込まれます。生徒の好奇心や想像力を引き出す指導力。生徒ひとりひとりと真剣に向き合う姿勢。希望を捨てずに進み続けるフランソワがとても魅力的でした。


 それぞれ悩みを抱える同僚の教師たちのやり取りもリアルでした。また、問題行動を起こした生徒は、すぐに評議会にかけられ、停学や退学を宣告される。シビアなシステムの問題も示唆されます。

 映画の中で劇的な変化が起こる訳ではないですが、少しずつ生徒たちの表情が輝いて来るのが感動的でした。学ぶ事の大切さ、子供たちに大人がどう向き合うべきか、考えさせられます。

 フランソワを演じたドゥニ・ポダリデスが上手かったし、生徒たちの自然な演技も良いです。生徒たちは、監督が2年間取材した中学校の実際の子供たちだそうです。

 エンドクレジットとラストで流れる『悲しき天使』の歌(鑑賞後にタイトルを知りました。)が心に沁みました。
☆☆☆☆



nice!(1)  コメント(2) 
共通テーマ:日記・雑感

「居眠り磐音」 [映画(新作)]

iwane.jpg
2019日本
監督:本木克英
原作:佐伯泰英『居眠り磐音 決定版』

出演:松坂桃李、木村文乃、芳根京子、柄本佑、杉野遥亮、佐々木蔵之介、奥田瑛二、谷原章介、中村梅雀、柄本明、佐戸井けん太、比留間由哲、和田聰宏、高橋努、荒井敦史、南沙良、ベンガル、桜木健一、水澤紳吾、阿部亮平、永瀬匡、川村ゆきえ、宮下かな子、山本浩司、有福正志、菅原大吉、陣内孝則、橋本じゅん、早乙女太一、中村ゆり、波岡一喜、石丸謙二郎、財前直見、西村まさ彦

 ひと月ほど前に観ました。

 脱藩して江戸で浪人として慎ましく暮らしている豊後関前藩の元藩士、坂崎磐音が主人公の時代劇。本作では、両替屋の用心棒として雇われた磐音が、新貨幣発行に絡む陰謀に巻き込まれて行く物語が描かれます。


 佐伯泰英の人気時代小説シリーズの映画化で、原作は未読ですがTVドラマ『陽炎の辻』は観ていました。山本耕史の磐音がはまり役で味わい深いドラマでした。

 それぞれの人物像が時間をかけてじっくりと描かれていた分、TVドラマの方が面白いと思いましたが、松坂桃李が磐音を演じる本作もなかなか良かったです。


 序盤で磐音が脱藩する原因となった事件がたっぷりと語られていて、引き込まれました。

 この時の深い傷を心に抱えつつ、飄々と生きる姿が磐音という人物の魅力になっています。彼と江戸の町民たちとの人情味溢れる交流や、剣の腕を生かして弱者を助ける磐音の活躍も見どころです。磐音を巡る女性との関係も、情緒たっぷりに描かれていました。

 豪華な俳優陣で丁寧に作られた映画で、続編が観てみたくなる。時代劇っていいなと改めて思いました。
☆☆☆



nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

「僕たちは希望という名の列車に乗った」 [映画(新作)]

silentR.jpg
DAS SCHWEIGENDE KLASSENZIMMER
THE SILENT REVOLUTION
2018ドイツ

監督・脚本:ラース・クラウメ
原作:ディートリッヒ・ガルスカ
出演:レオナルド・シャイヒャー、トム・グラメンツ、ヨナス・ダスラー、ロナルト・ツェアフェルト、ブルクハルト・クラウスナー、レナ・クレンケ、イシャイア・ミヒャルスキ


 東西冷戦時代。第二次世界大戦後、東西に分かれていたドイツでは、東から西への人口流出が絶えず、ソ連統治の下東ドイツは1961年にベルリンの壁を建設する。
 1989年の壁崩壊まで29年間、東西の交流は完全に遮断された訳ですが、映画は壁建設の5年前の話。鉄道で東西ベルリン間の移動が可能だった時期、エリート高校生のクラスで実際に起きた出来事を元に作られています。


 多感で好奇心旺盛な少年たちが、思いつきで起こした行動が、大きな問題に発展して行く様が克明に描かれていて怖かった。社会主義国家の非人道的な面を切り取った政治映画ですが、少年たちの友情と自立を瑞々しく描いた青春映画でもあり、引き込まれました。

 友達を裏切ってエリートの道を歩むか、良心に従い国家の反逆者として虐げられた人生を送るか、彼らは一人一人が残酷な選択を迫られます。皮肉な事に、追い詰められる事で無邪気な少年たちは、自らの人生や国家権力と正面から向き合い、大人になって行く。親の立場や心情も丁寧に描かれていて胸が締め付けられました。

 政府側の大人の尋問の仕方がえげつなくて、改めて大変な時代だったと思い知らされました。東ドイツだけの事、過去だけの事ではありませんが。
 同じ立場だったら、私は故郷や家族を捨てられるだろうか。大切な子どもを守る事が出来るだろうか。考えると涙が出て来ました。

 原作は当時の少年のひとりが書いた自伝(邦題『沈黙する教室』)。他のクラスメイトのその後も語られているらしいので読んでみたいと思いました。

☆☆☆☆



nice!(4)  コメント(3) 
共通テーマ:日記・雑感
前の10件 | -